看護師は、以前は「看護婦」として女性の職業というイメージが強い職業でしたが(男性は「看護士」という名称で区別)、2002年からは、男女関係なく用いる名称である「看護師」となりました。

そんな看護師の就業人数の内訳は、平成28年調査でみると、女性107万人に対して男性は8万人と発表されています。(参考:厚生労働省 平成 28 年度衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況)

このデータを見る限りでは、まだまだ女性看護師の占める人数が圧倒的に多いですが、男性看護師の人数は年々着実に増えています。また、男性看護師の配属先は、これまで透析室・手術室・救命救急室・集中治療室・精神科であることがほとんどでしたが、最近では外科・内科などの病棟にも広がっています。このように、男性看護師の活躍の場はますます増えているような状況があるのです。

それでは、そんな男性看護師の現状や収入のこと、そして男性看護師として働くメリット・デメリットなどを紹介していきます。

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最近の男性看護師の現状について

まずは、現在の男性看護師における現状から紹介していきます。

医療機関における男性看護師の占める割合について

看護師資格は、医療機関(病院・診療所・介護老人保健施設・訪問看護ステーション)の他に、保健所や市町村役場、社会福祉施設等のさまざまな場所で活かすことが出来ますが、ほとんどの方は医療機関での勤務をしています。

その中で、看護師資格を用いて医療機関で働いている看護師の男女比については、平成26年度の調査でいうと女性93.2%に対して男性看護師は6.8%という割合となっています。(参考:日本看護協会 看護統計資料室)

このことからも、圧倒的に女性が多い職場であることは一目瞭然です。ただ、このデータは全医療機関での男女比であることに過ぎません。それぞれの医療機関で「女性と男性の割合があまり変わらない職場」「比較的男性が多い職場」など特徴はさまざまですので、自分が勤務したい職場の状況がどうなのかを調べた上で就職活動をするといいでしょう。

 

男性看護師の配属先について

男性看護師が活躍している勤務先の多くは、病院や介護施設です。なお、当サイトによる個人的な意見でいうと、男性看護師の配属先は、内科・外科病棟に2割、精神科病棟が3割~4割、手術室・救命救急センター・集中治療室に3割~4割で働いている印象を受けます。

特徴としては、力仕事や体力を必要とするようなところで歓迎されやすいということです。なお、最近では、看護師としての総合力を必要とする訪問看護ステーションで勤務する男性看護師も増えています。

そして、男性看護師が絶対に配属されないのは、産婦人科と産婦人科疾患以外の病気の治療でも入院患者を女性に限定している病棟です。また、小児病棟で「授乳するところを見られたくない」という理由で、男性看護師を好まないところもあります。

 

男性看護師としてのキャリアアップについて

まず、男性という性別が理由で看護師としてのキャリアアップに支障がでることはありません。看護師資格取得後に更なるキャリアアップがしたい場合は、助産関係以外なら自分の希望する進路を自由に選ぶことができます。

その中には、認定看護師・専門看護師・大学院進学・学位取得・海外留学・国際協力など、男女の差はなくさまざまなキャリアアップの道があります。また、医療機関で経験を積んでいくことで、副師長・病棟師長・看護部長などの管理職や教育担当に昇進していくことは十分可能です。

 

男性看護師の収入について

厚生労働省から発表される平成28年賃金構造基本統計調査によると、男性看護師全体の平均年収は494万円、月収は34万円とされています。そして、女性看護師については、平均年収が480万円、月収は33万円となっています。このことから、男女での収入による差は特にないことが分かると思います。

ちなみに、男性看護師の年収と月収を年齢別にすると下記のようになります。

年齢平均年収月収
20~24歳386万円28万円
25~29歳456万円32万円
30~34歳493万円34万円
35~39歳509万円35万円
40~44歳536万円37万円
45~49歳550万円38万円
50~54歳499万円34万円
55~59歳617万円40万円
60~64歳597万円42万円
65~69歳379万円27万円

(参考:厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査)

 

なお、このデータはあくまで全国における調査なので参考として捉えて下さい。というのも、都心部では給料が高く、地方では低くなる傾向が強いからです。

 

 

男性看護師の仕事内容や特徴について

女性看護師は、結婚・妊娠・出産のため、長期休暇をとったり、場合によっては退職しなければならないことがあります。ただし、男性看護師は基本的に間を空けることなく働けるという大きな特徴があります。また、女性看護師にケアされることに羞恥心を感じる男性の患者さんに対するケアを提供できることや、女性にはない男性としての体格・力強さを期待されているのも特徴です。

そして、男性看護師は、人を抱える・暴れる人の対応など力を必要とする仕事内容を強く求められますが、それは一部分のことにすぎません。かつては暴れる患者さんの対応が必要なので精神科、人を抱える介助が必要なため整形外科や高齢者施設などでの需要が多かったのですが、現在は産婦人科と女性特有のケアが必要な診療科以外ならどこでも求められるようになりました。

このように、現在の男性看護師には性別関係なく看護師としての職能(診療の補助・患者さんのケア・新人教育・職場の委員会活動など)が問われる時代となっているのです。

 

 

男性看護師の活躍の場について

男性看護師の活躍の場は、本当に幅広くなってきました。前述しましたが、かつては女性にはない力や体力の差で、男性看護師は精神科・整形外科・高齢者施設で活躍することが多かったのですが、現在は内科・外科・救命救急科・手術室など活躍する場所は増えています。

その大きな理由としては、妊娠・出産などでキャリアが途切れることなく安定して働きつづけられるため、職場の人員配置が安定しやすいということがあります。

また、どの医療機関にいても、男性の患者さんの中には同性である男性看護師でなければ相談しない・話したくないこともあります。介助やケアも、同性である男性看護師にしてほしいと希望する男性患者さんもいるのです。

 

 

男性看護師のメリット・デメリットについて

最後に、男性看護師の仕事に関することをメリットとデメリットに分けて紹介していきます。


<メリット>

女性看護師の人間関係から距離を置くことができる

看護師の職場は女性が多い職場なので、ねたみ・ひがみ、噂話など女性特有の人間関係があるところが多いです。ただし、男性看護師の場合は「男だからわからない」と距離を置いて巻き込まれないような工夫ができます。

このような場面では、いい意味で男性看護師は孤立しやすいので、人間関係のいざこざや争いごとに関わらない態度を取ることで、自分の身を守ることができます。

 

雇用と収入が安定している

看護師の資格は不況にも強いため仕事に困ることはまずありません。給料の支給はかなり安定しています。また、余程のことがない限り解雇されることもありません。

他の職種と比べると、同じ職場に長く勤めることができますし、いざとなった場合の転職にも困ることがないのも大きな魅力といえます。そして、高収入を求める男性看護師には、手当が多い夜勤専従看護師として働く方もいらっしゃいます。お金、時間自分の求めるものに合わせて働き方を選んでいくのもいいでしょう。

 

女性看護師に比べて患者さんから可愛がられることが多い

男性看護師が急増したのは最近のことなので、年齢は女性看護師ほど重ねていません。そのため、患者さんによっては自分の息子や孫と重ねて接するので、好かれて可愛がられることが多いです。

 

 

<デメリット>

職場の環境が女性向けである

看護師の職場は女性が多いということもあり、福利厚生などはあまり男性への配慮ができていないことがあります。また、職場の整備においてもあまり出来ていないという現状もあります。

例えば、更衣室は男女別ですが、男性看護師の人数が少ないため不便な場所に配置されるという場合もあります。また、仮眠室においても男女の一緒のタイミングで使うことはできません。そのため、交代して仮眠を取れる職場ならいいのですが、同じ時間に仮眠をとらなければならないような職場では、男性看護師が女性看護師に仮眠室を譲るといった状況になることもあります。

 

力仕事を負担させられる

「男性だから力がある」「重いものは男性にお願いしたほうがいい」と、重いものや患者さんを抱えるような仕事の負担は必然的に多くなります。そのため、腰痛など身体に負担がかかることに注意しなければなりません。

 

女性の患者さんにケアを断られる場合がある

特に、若い女性の患者さんには「女性の看護師さんに変わってほしい」と関わることを拒否されることがあります。実際には、その女性患者さんに悪気がないことが多いのですが、羞恥心などから同性である女性の看護師にケアを受けたいと希望されることが多いのです。

たとえ、直接肌やプライベートゾーンを見られるケアでなくても断られることがあるので精神的に辛いと感じることがあるかもしれません。ただ、それは患者さんの立場になって考えると当然のことでもあるので気にしないことも重要です。

 

他の男性看護師と比べられることが多い

男性看護師の割合が増えたといっても、女性看護師に比べるとまだ少数派です。そのため、男性看護師が特に少ないところでは何もしなくても目立ってしまうことは否定できません

例えば、業務の覚え方・業務の失敗などがあった場合に「◯◯さんはできるのに、△△さんはまた失敗して・・・」などと、女性看護師に比べて男性看護師同士の比較はされやすいこともあります。

もし、自分にとってデメリットを強く感じる職場であれば、転職することも視野に入れることもいいでしょう。その場合の転職先は男性看護師が多く勤務する医療機関をおすすめします。その大きな理由としては、「男性看護師が多く働ける場所=男性看護師が働きやすい職場」として条件が整っていると十分考えられるからです。

 

 

男性看護師の仕事や現状、メリット・デメリットについてのまとめ

近年は、男性が看護師を目指すことも普通のことになっており、女性看護師が男性看護師と一緒に働いて、「男性だから・・・」と感じることはほとんどありません。また、「女性だからできて、男性にはできない」ということもないのです。看護師として「仕事ができない」「機転が利かない」などのことは女性看護師にも同様にあることです。どちらも同じ看護師として日々成長していくことが重要になってきます。

そして、男性看護師が働きやすいように、力仕事のほとんどを男性看護師に依頼する女性看護師の姿勢も改めなくてはいけません。むしろ、男性看護師が働きやすい環境に改善していかなければならないのが女性看護師の役割とも考えられています。

まだまだ性別で苦労することがあるかもしれませんが、ぜひ男性看護師としてベストな職場探し・働き方ができるようにしていきましょう。

なお、男性看護師同士の交流などを求める方は、全国男性看護師会などの団体やSNSでのコミュニティを利用するのもいいでしょう。