看護師・准看護師になるためには、学校内での座学に加え、病院や施設等で実際に患者さんと関わって学ぶ「臨地実習」があります。これは、看護師になるまでに、厚生労働省の定めた「看護師指定規則」というカリキュラムに沿って学ばなければならないからです。准看護師を目指す方も同様に、各都道府県で実施される准看護師資格試験を受験するために「准看護師指定規則」に定められたカリキュラムに沿って学ばなければなりません。

どちらのカリキュラムとも臨地実習は必修の科目となっています。そして、臨地実習で実際に患者さんや他の看護師などの医療スタッフと関わることで、学内で勉強したことをまとめていきます。この学んだ看護技術や知識を体感して、身につける場所が臨地実習なのです。

臨地実習は各項目で時間が定められており、臨地実習で及第点を取らないと、進級できないどころか国家試験の受験資格すら得ることができなくなります。それでは、この臨地実習の期間・内容・評価基準・実習中の注意などについて解説していきます。

 

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看護学校の実習ではどんなことをするの?

看護師として働くためには、「看護実践能力」つまり、学んだ看護技術・知識を組み立てて患者さんの希望する状態にできるだけ近づけるように働きかける能力が欠かせません。そして、患者さんとの関わりを通して、医療・看護倫理、個人の価値観などを学び、患者さんに関わる方法は一つではないことに気づかなければなりません。そのために、臨地実習は必要不可欠な科目なのです。

そして、学内での勉強・学生同士の演習だけでなく、実際に患者さんや他の医療スタッフと関わることで学んだ看護技術・看護知識をまとめることも重要です。人体の構造や看護学各論などそれぞれ学んだ科目を、患者さんを受け持つことで関連づけていきます。そのため、学内で学んだことがおろそかであれば、実習中に復習する必要がありますし、必修科目が全て及第点でなければ臨地実習にすら出ることもできません。

臨地実習の内容は、「看護過程を用いた受持患者さんの問題や課題を解決する方法を学ぶ。看護師を含めた他職種と連携したチーム医療を学ぶ」ことです。細かい内容と進行の説明をすると下記のようになります。

臨地実習は、「基礎看護学実習」・「臨地実習(成人看護学・老年看護学・小児看護学・母性看護学・精神看護学)」・「統合実習(在宅看護学・看護の統合と実践)」の3つに分けて行われます。

基礎看護学実習は病院見学と、病院で働く看護師と行動を共にして、看護師の業務「診療の補助・療養上の世話・チーム医療」の一部体験しながら学んでいきます。そして、実際に患者さんを受け持って、看護過程を用いた看護の展開の導入を学ぶのです。

臨地実習では、それまでに学んだ科目を統合して、自分が主体となって看護計画を立案し、受持患者さんと関わりながら学んでいきます。他職種の方や看護師が運営するカンファレンスにも看護学生として参加します。

統合実習では、「基礎看護学実習」・「臨地実習」で学んだことを、病院以外の保険医療機関で他職種の方と共同して複数の受持患者さんに関わることで地域や病院以外で療養する援助を学んでいきます。

 

なお、厚生労働省によると看護学生が臨地実習中に実施する看護技術は、次の三段階に分けて定めてあります。

  • 1.教員や看護師の助言・指導により学生が単独で実施できるもの
  • 2.教員や看護師の指導・監視のもとで学生が実施できるもの
  • 3.学生は原則として看護師・医師の実施を見学する。

 

となっております。実際に、臨地実習で看護学生が行う看護技術は、バイタルサインズの測定・日常生活援助が主となります。

 

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実習はどれぐらいの期間行われるの?

必修科目である臨地実習の単位と実習期間は、准看護師学校・看護専門学校レギュラーコース・看護専門学校進学コース・看護短大・看護大学で異なります。

1.准看護師学校

(下記の数字は履修時間です)

臨地実習 合計735
基礎看護学210
成人看護学・老年看護学385
母子性看護学70
精神看護学 70

1年次に学内で講義・演習を終えて、1年次の終わりから2年次が実習期間となります。

2.2年制看護専門学校

(下記の数字は1単位(90時間)です)

基礎看護学 3
臨地実習 合計16
成人看護学6
老年看護学4
小児看護学2
母性看護学2
精神看護学 2
統合と実践 合計4
在宅看護論2
看護の統合と実践2

1年次に学内で講義・演習を終えて、2年次に実習期間が続きます。

3.3年制看護専門学校

(下記の数字は1単位(90時間)です)

基礎看護学 3
臨地実習 合計10
成人看護学2
老年看護学2
小児看護学2
母性看護学2
精神看護学 2
統合と実践 合計4
在宅看護論2
看護の統合と実践2

1年次に基礎看護学実習、2年次から3年次前半まで各論臨地実習・統合と実践実習が続きます。

4.看護大学

(下記の数字は1単位(90時間)です)

基礎看護学 3
臨地実習合計 16
成人看護学6
老年看護学4
小児看護学2
母性看護学2
精神看護学 2
統合と実践合計 4
在宅看護論 2
看護の統合と実践 2

1年次・2年次に基礎看護学実習、から3年次前半まで各論臨地実習・統合と実践実習が続きます。1クールは2週間から3週間で、各クールの実習が終わると次のクールの実習が始まります。週5日間は病院や施設で実習して、そのうち1日が学内演習・各科目のオリエンテーションとまとめなどを行っていきます。

 

 

実習の評価はどのようにして行われるの?

臨地実習の評価は、実習記録・出席日数・提出期限が守れているか・実習態度・協調性・自己学習・身だしなみなどが基準となります。

実習記録には、日々の記録・看護計画・要約などがあり、毎日提出する記録と中間カンファレンス・最終カンファレンスなど提出する日が決まっている記録があります。「全く書けていない」「提出期限が遅れる」というようなことは、減点の対象になることに加えて、実習が継続できるかの判断要因にもなってしまうので注意が必要です。特に、実習終了後の記録の最終提出日を厳守しなければ、単位が取得できるかどうかの評価にまで関わります。

実習は、5〜6人のグループで行われるので、協調性があることや、グループワークやカンファレンスにおける参加態度も評価基準になります。実習の評価は、各学校の評価表に沿って自己評価と教員評価を面接で話し合われます。ほとんどが「よくできた・できた・できなかった」の三段階で評価します。

ただ、臨地実習は、留年させるための科目ではありません。臨地実習に臨む前の講義・演習を真面目に取り組んでいけば、問題なく進級することができます。

 

 

卒業のためには実習は欠かせないものである

臨地実習で単位取得ができなければ、他の実習を履修できないだけでなく留年になります。臨地実習の単位認定ができなければ、進級もできず看護師国家試験の受験資格まで遠ざかることになります。

臨地実習の期間は、約1年間になりますので、自分なりの気分転換を見つけておきましょう。実習中でも友達同士で辛いことや楽しいことを話し合うなどうまくストレスを発散しないと、思いつめて効果的に学ぶことはできなくなってしまいます。

そして、体調管理も重要になりますから、無理をしないように食事と睡眠時間は確保するようにしましょう。実習中の辛いこと、わからないことがあれば、どんなことでも教員や友人に相談することをおすすめします。一人で抱え込まないことが大切です。

 

 

看護学校の実習って何をするの?実習内容や評価基準についてのまとめ

臨地実習は、慣れない環境で知らない人の中で学んでいかなければなりません。「グループメンバーとの相性が合わない」「実習指導者・教員とうまくいかない」など、勉強以外の強いストレスにさらされることもあります。

また、実習中はかなりハードなスケジュールになりますし、生活リズムが崩れるので体調管理が大切になります。体調が優れない時は無理をせずに、連絡をして休むことも大切なのです。

ただ、実習は大変なことばかりではなく学生にしかできない患者さんとの関わりができるので、いい思い出もたくさんあります。辛い思いをするのが臨地実習の目的ではなく、看護師としての知識・技術・コミュニケーション能力・他職種との関わりを学ぶのが本来の目的です。今まで勉強をしてきた自分を信じて、臨地実習を乗り切れるように頑張っていきましょう。