厚生労働省より発表されている「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」の資料から読み取ると、2016年の看護学生の退学率は約3%~13%であることが分かります。他の学校と比較すると高い退学率ですが、多くて1割程度なのでほとんどの学生は卒業できているという状況です。そういった中、看護学校を退学してしまう学生には、どのような理由があるのでしょうか。

そこには、「看護師になりたいという意志の弱さ」「勉強についていけない」という理由の他、「看護学校に馴染めなかった」といった理由も多いように感じます。ただ、理由が何であれ、看護学校を退学してからまた新たに進路を決めるのは簡単なことではありません。退学という選択肢は、最終手段にしておくべきです。

そこで、このページでは看護学校における退学に焦点を当てて、退学率や退学理由の他、「看護学校を退学しない」「退学にならないための備え」について紹介していきます。

 

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看護学校の学校別にみる退学率について

以下は、平成28年度の「看護系大学」「看護専門学校」「准看護学校」の学校別でみた退学率となります。
(参考:看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査)

 

  • 看護系大学 — 3.5%

在籍可能な期間が6年から8年なので、留年や休学をしながら在学できるため、退学率が一番低いと考えられます。

 

  • 3年制看護専門学校 — 9.2%
  • 3年制看護短期大学 — 7.9%
  • 2年制看護専門学校8.1%

レギュラーコース・進学コースでは、退学率にほとんど差はありません。在籍可能期間が短いことで、4年制大学よりも勉強のペースが早いため、ついていけないなどが退学の理由と考えられます。

 

  • 准看護学校 — 12.9%

准看護学校の退学率が他より高いのは、自分が希望した進路ではないけど「手に職を!」と思い、とりあえず入学したこと等が多い理由として考えられます。

 

この中で、「看護系大学」「レギュラーコース・進学コース」で共通している退学理由には、学費が払えないことも含んでいます。経済的理由で学費が払えなければ、退学するのはやむをえないことでもあります。もう一つは体調不良によって学業を続けるのが困難となり、退学という選択肢を選ばざるを得なかったということも原因として考えられます。

 

 

どんな理由があって退学しているの?

1.希望の進路ではなかったから

他の医療系資格の滑り止めで看護学校を受験して、看護学校しか合格しなかったという学生もいます。また、自分が望んだ進路ではないのに「看護師の資格があれば一生安泰だから」といった経済面優先の理由で入学した学生も多くいます。その結果、自分が本当にやりたいことができず、看護学校の雰囲気に馴染めずに退学する学生は多いです。

 

2.看護学校の雰囲気に馴染めなかった

自分が希望して看護学校に入学しても、看護学校の雰囲気に馴染めないことはあります。日々の課題や講義の多さの他に、ピアス禁止・髪の毛の色・服装規定があることなど、息苦しく感じてしまう学生もいます。

一つの理由だけでなく、雰囲気に馴染めなくて通学できなくなり、退学という結果になることがあります。

 

3.学習についていけなくなった

看護学校は1年次から課題や講義は多いです。学年が上がるに連れて、実習等で日々の課題等で忙しくなりますし、難易度は増します。教員から留年や再履修を進められても、学習が嫌になって退学を選ぶ学生はいます。

特に、実習に関しては本当に力を入れておかないと評価点が足りずに進学できないということにもなりかねません。きつい時期にはなりますが、努力して乗り切るように頑張りましょう。

 

4.経済的理由によるもの

経済的事情で学費が払えなくなり、退学しなければならない事例は多くあります。卒業までの学費だけでなく、教科書代・クラス費など、学費以外にかかる費用もあります。そのため、ある程度の経済的余裕がなければ、卒業することが難しくなってしまいます。

なお、法律や看護学校の規則違反に抵触することがなければ、強制退学はあり得ません。そのため、このような自主退学は絶対避けたいところです。場合によっては、奨学金の利用等も検討することも考えておくようにしましょう。

 

 

 

退学してしまった人はその後どうしているの?

看護学校を退学した人はそれぞれの進路を自分で見つけることになりますが、何も決めずに過ごしている人もいます。入学した看護大学が総合大学であれば、同じ大学内で学部を転部する人も多いでしょう。

女性の場合、在学中に妊娠をすると休学して子どもを産んだ後に復学する学生もいますが、そのまま退学する学生が多いように感じます。

「自分のやりたい進路を見つけて進学する」「他の仕事に就く」など前向きな人もいますが、「実家に戻って何もしない」「アルバイトを掛け持ちする」など先が見えない生活をしている人もいます。「看護学校退学」ということを、前向きにとらえるか・後ろ向きにとらえるかその違いは大きいものです。

「自分には向かない進路だったから、本当にやりたいことをしよう」と次のことを考えて行動できれば、それはそれでいいと思います。しかし、「行きたくないのに合格したから行けって言われたから、看護学校に入ったばかりに」「自分には向いてなかった」と後ろ向きに考えると、なかなか将来の新しい段階へ進むのは難しくなってしまいます。

 

 

退学にならないための備えについて

では、退学にならないために「気をつけること」「知っておくべきこと」を解説していきます。

1.(看護系大学の場合)履修登録を確認しておくこと

専門学校では、履修する科目を学校側が決めていますが、看護系大学は自分で履修登録をしなければなりません。それがたとえ必修科目だとしても、履修登録していないと「未履修」となり、再履修しなければなりません。

再履修科目が増えると勉強が負担になり、さらに規定の卒業単位時を充足していなければ留年となります。履修登録をしたつもりで勉強しても、それが単位取得につながっていないと分かれば、心は折れてしまいます。

 

2.「絶対に卒業する!」と覚悟を決めておくこと

医療系の学校、特に看護学校の講義スケジュールの過密さは大変そのものです。そのため、晴れて看護学校に入学して、講義スケジュールの説明があると卒業できるのか心配になります。

ただ、数ある進路がある中で自ら選んで決めた看護師という道です。入学時から「必ず卒業する!」と覚悟を決めておきましょう。卒業するまでの期間は長く感じると思いますが、走り出したら案外あっという間に過ぎて行くものです。

 

3.少しでも勉強がわからなければ、看護教員に教えてもらうこと

勉強がわからなくなると、講義が増々面白くなくなってしまいます。そのため、勉強がわからなければ、遠慮なく看護教員や講義担当の先生に質問していきましょう。

高校までの勉強と看護学の勉強は専門的で全く違うものです。高校でいい成績を取っていた学生が「看護学はわからない、勉強するのが辛い」というほど、勉強の方法が違うのです。答えを聞くだけでなく、参考書・勉強の方法・自分がわからないところなど教員に質問して、「勉強がわからないからやめたい」という状況を作らないようにしていくことをおすすめします。

 

4.学費が払えるように、支援制度を知っておくこと

勉強したくても学費が払えないから、退学を選ばざるを得ないことほど、辛いことはありません。そのため、看護学校を受験する前に、志望校の学費や利用できる支援制度を調べておくようにしましょう。

そして、場合によっては奨学金制度を利用するなどの方法も考えておくことをおすすめします。

 

5.持病があれば、かかりつけ医に相談すること。

入学前あるいは在学中に、持病を持つことは珍しくありません。体調を理由に退学する必要は全くないのです。そのため、かかりつけ医に自分の体調や講義スケジュールを相談して無理のないように勉強を進めて行くことも大切です。

 

 

看護学校の退学率はどれぐらい?退学にならないための備えについてのまとめ

退学という選択肢は最終手段であり、留年や休学を繰り返しても学生が卒業できるように学校側は支援をしてくれます。そのため、退学は本当にどうしようもないときの、最終手段として考えてください。

また、全ての履修科目で、満点を取らなければならないことはありません。ギリギリ単位取得ができる成績でも卒業することが重要です。そして、持病があったとしても、卒業して看護師として活躍している人はたくさんいます。体調を理由にすぐに退学しなくても問題ないのです。

学生生活はすべてが順風満帆にいくものではなく、時には壁にぶち当たることもあるものです。そういった時に、悩みが深くなっていくと「辞めたい」と考えてしまうこともあるでしょう。ただ、学校には同じ目標に向かって頑張ってくれるクラスメイトや支えてくれる家族等がいます。ぜひ、看護学校という道を選んだからには、「卒業&試験合格」という強い覚悟を持って頑張っていくようにしていきましょう。